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ダムの底から

2017年10月30日 | note exhibition-2

10月21日(土)より、松本市にあるawai art centerにて展示『ダムの底』が始まった。
作家同士で結婚してから3年。夫婦としては初めての2人展。
共作を作っているわけではないが、各々が完全に個別の展開をしているわけでもなく、作品、空間、経験と、シークエンスを練った構成にしたため、ある意味では2人展でありながら『太田遼+武政朋子』初個展でもあると言えるかもしれない。

松本には以前からよく遊びに来ていて、awai art centerを訪ねて行ったのは何度目かの滞在の時だった。awaiの茂原さんは、僕がかつて東青梅のモデルルームで展示した際に見に来てくれていて、awaiを初訪問した際には茂原さんから声をかけてくれた。
展示をさせてもらえることとなり、どういう展示にしようかと2人で話し合った数ヶ月の期間は決してスムーズなものではなく、多くの涙が流れた。夫婦で2人展をやるということは、ことの外ハードルが高く、軽い気持ちでは切り抜けられなかったからだ。

方針が決まって、いざ設営となってからも、結果的に5週末松本に通い、1階のみならず初めてお披露目するという2階と呼応しながらの現地制作となった。
滞在中は作業の大変さはさておき、茂原さんとの会話は始終楽しく、途中信州大学の金井先生を囲む会に誘ってもらったり、合わせて訪れた友政真理子さんや上田良さん、劇作家岸井大輔さんのトークなどなど、色々と関係ができて良かった。近所のパン屋ポン・ヌフには毎日通い顔を覚えてもらえたようだ。
そして個人的には、茂原さんの夫で作家の村上慧くんと時間を共有できた事が嬉しかった。
彼は大学時代の4つくらい下で、その頃からの知り合い。ちょくちょく同じ展示にも出していた事もあるが、ニアミスしながらなんだかんだ数年間顔を合わせずにいた。
正直言えば、彼の活動には作家として嫉妬していたのも事実である。そんな思いを持ち続けることなく、会って話ができたのは本当に良かった。
彼は24日からまたプロジェクトに出かけるようで、僕らの会期中にじっくりと話せるのは21日のオープニング後のみだったのだが、僕が泥酔してしまい叶わなかった。
村上曰く、ニコニコ笑いながら吐く姿を見られてしまったようだ。

ここ最近、随分自分が保守的になってしまっているように思う。おっさんになったからなのか。
行きたいとこに行く、会いたい人に会う、やりたい事をやる、a.k.a 面白い事をやる、という、言葉にすれば至極簡単な事がとても難しい。

ネクストステージを暗中模索しながらも、人との関係をうまく紡いでいけず、悶々とする30代。このままでは自分の中に収束して行き、辞めて行くんだろうことが容易に想像できる。

ただ、僕はどこにも属していない為、自分に規制をかける必要なないはずである。
一体何の為に作品を作っているのか。建築とは何か、美術とは何か。
僕は自らの必然性と向き合う為に作品を作っていたはずだ。
それを忘れて、あまりに人の顔を気にしすぎていたのかもしれない。

あくまでも個として動く人達と出会えた今回の企画は、色々と刺激をもらえる機会でもあった。

もう少し続けてみようと思う。