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暗闇の椅子

2019年01月03日 | etc memo movie

日々を生きる中で、安心する場所というものは以外と少ない。
僕が落ち着かない不安定な人間だからか、世の中が不安定だからなのか。

かつて学生時代は、友人とシェアしていたアトリエにいると安心していた記憶がある。
アトリエに向かう自転車ではニヤついていたこともあった。
もちろん苦しくて仕方がない事が多かったのだが、本質的にアトリエを借りていたことは心の支えだったように思う。

最近あまりその感覚がない。
映像を使うことも増え、制作の方法が多岐に渡るためにアトリエでの制作にあまり比重がなくなったからかもしれない。

今、日々の中で僕が安心できるのはどこだろうと考えたら、映画館の椅子が思い浮かんだ。
僕は大体1〜2週間に一度くらいのペースで映画館に行く。
当然見たい作品を見に行くのだが、暗い部屋へ心を鎮めに行くような感覚もあるような気がする。

建築は、根源的に闇を闇を抱えているという話を読んで、至極納得した事がある。
電気が発明される以前は、きっと部屋や天井の隅には闇が多く存在していた。
それが証明やガラス張りによって徐々に建築から闇が排除されている今、意識的に闇を作り出しているほぼ唯一の建築物は映画館だ。
そんな暗闇の建築で2時間椅子に座れるのは、何とも言えない至福の時間なんだ。
しかし、2時間も人を拘束させて視線も時間も強要する映画という媒体は、まるで「時計仕掛けのオレンジ」ルドヴィコ療法の様に暴力的でもある。
そこで安心している僕は、心底マゾヒズムなのかもしれない。

mmm〜、、。