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青森での展覧会②-非関東圏で展覧会を企画すること

2025年04月10日 | exhibition-2

僕たち夫婦は毎年大晦日に飲みに出かけ、今年見た映画の話をニコニコと話したり、今年見た展覧会の話を無表情で話したりするのが恒例である。
今年少し話題になったのが、ネットの記事やsnsでよく見かける「年間べスト展覧会top10」というような投稿について。
とある地方都市在住の人が、それらの記事に対して「首都圏にいない人は年間にそんなにたくさんの展覧会を見に行けない。数少ない展覧会鑑賞体験を長いこと反芻しながら噛み砕いて染み込ませるしかない。」というような内容の投稿をしていたらしい。
それについて、僕はいまいちピンとこずに話が平行線になってしまった。
その時の僕の考えは浅く、おすすめの展覧会が紹介されている程度だからいいじゃないか、くらいの気持ちだった。
時間は過ぎて3月中旬。
まだ雪のふる青森に滞在し、企画や制作、広報や滞在生活を必死かつ楽しんでいるうちに展示がオープンして、気づいた時には青森も春になってきていた。
3週間とはそれだけ長い期間だった。でも季節の変化を体験しつつも忙しい日々が凝縮していて、時空が歪んだかのように短くも感じられた。
滞在中はやりたいことを詰め込みすぎていて、全く観光ができず。そんな中でたまたま見たSNSに、その時東京で話題の展覧会が複数のアカウントで投稿されていた。
「今話題の展覧会に行けました」
「絶対に見るべき!」
「この展覧会を見る恐怖よりも、見逃す恐怖の方が耐えられない」etc…
飲みすぎた翌日の胃のムカつきのような、言いようのない真綿のようなものが心に詰まっていった。

映画などの複製芸術と違って展覧会は基本的にその場所でしか見られない。建築ほどのヴァナキュラーなものではないにせよ、巡回展が企画される大きなものでなければ、たとえ東京の有名ギャラリーで開催されているものであっても、その時その部屋でしか見られないものだ。
もちろんそんな展覧会を紹介する行為は否定するものではない。しかし、行きたくても行けない人が圧倒的に多い状況にあって、行けなかったことを後悔させるような投稿の、その無頓着さに大変にモヤついたのだ。

我が家でよく出る話題のもう一つに、地域差による文化の勾配問題がある。
いくらインターネットが世界中を蔓延したとて、歩いてすぐのところにギャラリーやライブハウスや映画館や本屋がある土地と、そうではない土地とでは日々浴びる文化の量に勾配が出来てしまうという大変深刻な問題だ。
僕らが今回滞在した青森がそのような土地だと言いたいのではなく、東京のような場所から発信される「絶対見るべき」という無数の投稿が大変無神経なのだ。
大晦日の会話がようやく新年度に身にしみてわかってきた。我ながら遅い理解力だ。

そんなわけで、あえて言いたこと。
非関東圏、それも北東北の青森県青森市にて自分たちで作り上げた企画展「IAMNOWHERE」。見逃すわけにはいかない、絶対見るべき展覧会なのである。